『景子ちゃん ありがとう』の関連本でもないとおもいますが、山野貞子さんの「介護天国・地獄」を紹介させて頂きます。人間の生きるとはどういうことなのか、社会はそれに応えず、ますます捻じ曲がっているのでないかと、要約すればそのようなテーマになるのかと思います。
山野さんは長編歴史小説「御赦免花」(高嶋秋帆の生涯を描いたもの)の出版のときは、編集者から現地取材をせよ、と発破かけられて、長崎、伊豆その他取材に駆け回りました。その後、だいぶ改稿し、2年かかりで出版。やるなぁと感心していましたが、今度の本の出版には驚きました。切り口は鋭い。わずか286円、120頁の本なので買ってあげてください。
龍書房 電話03-3288-4570 Fax 03-3262-5443
老人のセックスに関しては二階堂玲太の短編「斬らずの醍心、父の脚を斬る」で触れています。是非、ご一読を。
早速をbk-1で検索してみたが登録されておらず、注文はできなかった。しかし、蓮見さんの書評を読んでみれば、内容はおのずと明らかになる。こういった話題は新聞記事でも散見する。ただ多くの人々は自分のこととして読めないだろう。
少々気鬱状態になったところで、「斬らずの醍心、父の脚を斬る」を読んでみると、肩透かしを食ったようで思わず頬が緩むのは何故か。
6月19日(火)「紹介メールをひとつ・・・の風さん」
とってもうれしいメールが来るのだが、なかなか紹介できない・・・ということは以前にも書いた。これも、そのうち。プライベートな部分が多いので、掲載をためらっていたが、伏せ字が多くなっても伝わる気がするので、出しちゃおうっと。
同じ会社に勤めていた女性で、ワイフの友人です。
**さん(私のこと)、こんにちは! 相変わらず、お忙しそうですね。
今、おはようございます、、の風さん(14日の日記)を読みました。ほのぼのとした2人のやりとりが浮かんできて、すごく心に残りました。短い日記なのに、不思議。@@チャン(ワイフのこと)のことも知っているし、自分も同じような生活をしているのでよけいに心が動かされたのかも知れませんね。
うちは、朝起きてから、お帰りなさい〜のパターンが多いかな。
「景子ちゃん、ありがとう」のことは、**さんのHPで知りました。早速、図書館に勤めている友達に聞いたら、最近購入されていて現在貸し出し中とのことでした。その返事をもらったときには、もう、予約の手続きまでしてくれてあり、今待っているところです。
私は最近絵本にはまっていて、今のオススメは「わすれられないおくりもの」 スーザン・バーレイ 評論社 です。短くてすぐ読める絵本ですが、命の重みを考えさせてくれる作品です。景子ちゃんのお父様にも、是非読んでほしいと思っています。(もう、読んで見えるかも知れないのに、図々しいけど、、)
私の大好きな叔母が亡くなる少し前に出会った本なので、感動が強かったんだと思います。亡くなってから、ただ寂しく、悲しく思わずに前向きに考えられました。登場するのは全部動物さんなんですよ。これも、図書館のともだちに薦められて知りました。
**さん、お忙しい毎日でしょうが、お体に気をつけてくださいね。会社の忙しさって、なかなかそうでない人には理解してもらえない部分があるけど、うちだけじゃないんだな、と少しほっとしました。**さんはそれにプラスだからすごいな〜といつも思います。
私も@@チャンを見習って、玄関でお出迎えしようと思ったけど、驚いて倒れるといけないので、や〜めた!
それでは、また。
実に面白い。私はこのメールをもらってすぐプリントアウトし、ワイフへ届けた。
ワイフ曰く「おはようございますって何のこと? どうせ、また創作したんでしょ。本当にすぐ物語を作る人なんだから・・・」。「ち、違うって! お前のこと誉めて書いたんだぞ」
いつも小説家は外では疑われるのでありました。
6月23日(土)「い、痛い〜・・・の風さん」
最近気分がいいのは新聞のスポーツ欄である。応援しているマリナーズのイチローがついに打率首位に踊り出た。大リーグで活躍することを夢見ていたイチローにとって、日本のプロ野球で成績が良くてもあまりうれしそうでなかったが、70試合経過した時点でのこの成績には、内心震えるような手応えを感じているのではないだろうか。
力不足の私はせいぜい誇大妄想狂になって「日本で一流の小説家」を目指すことにしよう。そうすれば、目前の課題である「年末までに出版2冊」はきっと達成できるに違いない。
・・・と、イチローの話題で元気を出す予定だったが、今週の途中から突然左腕に激痛が走るようになってしまった。原因不明である。21日(木)退社後に床屋へ寄ったのだが、椅子の背を斜めに倒されると、左腕外側の筋肉が引っ張られてひどく痛い。首を横に倒したり、上に引っ張り上げると痛みが消えるので、首の筋と何らかの関係がありそうだ。五十肩ではないと思う。
その夜、湿布薬を貼ってさっさと寝てみたが、効果はなかった。
翌22日(金)も、姿勢によって走る左腕の痛みに耐えつつ、早朝から執筆を開始した。つまり昨日の朝のことである。あまりにも執筆が進まないので、とうとう業を煮やした私は、書斎での資料読みを今月一杯中断することにした。資料を読んでいるとさっぱり進まないからだ。読書は書斎以外でする。つまり、自宅では茶の間で食前後とかね、自宅外では会社の休憩時間とか出張で電車に乗ったときなど。しかし、あと1週間であるが、2本の小説以外に、短文1本とスピーチ原稿1本も抱えている。2本の小説のうち1本(つまり先日打合せをしなかった方)については、2週間後に打ち合わせを約束したので、いくらか進展を見せなければならない。いよいよ切羽詰ってきたぞ。
昨日は、2箇所へマイカーで出張し、帰宅後、久々にトレーニングのために体育館へ行った。肩の痛みもあるが、腰の痛みは前からひどい。体のバランスが崩れているのは間違いないので、入念なストレッチのあと、マシンをかたっぱしからこなした。最後のマッサージ椅子も痛かったな。
それで、夕食後、さっさと寝た。・・・で、今朝の気持ち良い目覚め・・・を期待したのだが、特に変化はない。改善もなければ悪化もない。午前中は用事があったので、午後から整形外科へ行こうかと思ったが、休診だった。当然か。
執筆は、昨日からの方針通り、「強引ぐ・マイ・ウェイ」である。
6月24日(日)「腕は痛いがとっても元気?・・・の風さん」
昨夜は就寝前にワインを飲みながら「タイタニック」のビデオを少し観た。単に特殊撮影の大作ではなく、登場人物が丹念に描かれているし、若々しいカップルのロマンスも微笑ましくてよい。勉強になる。
さて、今日も執筆の1日にしようとしたのだが、階下のリビングで資料を読んでいたら、止まらなくなり、挙句の果てに眼精疲労で(老人性だな)、ちょっと寝た。夕方からは、またトレーニングに出かけた。時間は貴重ではあるが、体力が基本だということを痛感したので、これからもトレーニングは行くぞ。今日は久しぶりにエアロバイクを30分頑張ってみた。まずまずだった。トレーニング・ルームにいる日曜日のトレーナーは、見事にしまったプロポーションの女性である。恐らく体脂肪率は10%そこそこではなかろうか。自分は最近ブタのように太り気味なので恥ずかしい。おまけに今日は、トレーニング・ルームの鏡に映ったマイ・ボディの色白ぶりがとっても病的で、嫌悪感にさいなまれた。
夜、塾の帰りが遅い娘を車で迎えに行ったので、帰宅してすぐ寝た。むむ。執筆が・・・。
6月25日(月)「自己紹介原稿・・・の風さん」
月末締め切りの日本推理作家協会会報の原稿を、今朝投函した。とっても変な自己紹介原稿である。どう変かというと、とらえどころのない文章構成だからである。現在の土地に越してきて、夜道端でコクワガタを拾ったところから話は始まる。そいつを大事に育てたので、3年も長生きしたと自慢する。続いて、中学校の頃に推理小説に目覚めた話をして、いつのまにか理系に進み、今は大手の自動車部品メーカーで生産システム開発をしている話をする。仕事の中身を淡々と紹介する。それだけの話である。いったい何を言いたいのか、よく分からないであろう。今回の狙いは、文章の中身や構成ではなく、全体の雰囲気、文体といえばいえるか、そういったもので、鳴海風の不思議なキャラを見せようと試みたのである。
投函してから、文章の間違いに気付いたので、事務局へメールして修正をお願いした。
来月か再来月の会報に掲載されることを期待している。掲載されたら、紹介しようかな。
6月28日(木)「予定通りにはいかないぜ・・・の風さん」
例によって(何が例によってかよく分からないが)、魔堂さんからメール攻撃の次は郵便物到来だ。
「歴史研究」(2001年7月号)は、魔堂さんの掌編『昌姫の復讐』が掲載されている。原稿用紙5枚とはいえ、小説を書くにはエネルギーが要る。その精力に先ず驚かされた。内容については多くは語れない。なぜなら、これは一種の怪奇譚というか昔話といったもので、私のジャンルとは異なる。私が書こうとしている小説は、人間がテーマになっていて、それをいかに深く掘り下げて行くかが課題である。従って、浅田次郎氏の「鉄道員」なども、私にはなじめない。所詮小説であるから、ほとんどフィクションに違いないのだが、本物らしく描くことを目指すので、やはり幽霊や魔物や化け物は、私には手におえないからだ。ところで、魔堂さん、近々2冊も出版するという。恐るべきエネルギーに脱帽。
もうひとつ。山野貞子さんの『介護地獄・天国』(龍書房)が送られてきた。魔堂さんが手配してくださったのだ。冒頭の「介護地獄」と「介護天国」は、どちらも著者の体験を語っているもので、迫力がある。事実としての迫力であろう。こういう事実に目をそむけている人々に読ませたい。今、私の実家でも、これに近い状態が訪れようとしている。私にとっても遠い出来事ではなくなりつつある。続いて、介護がらみの評論がいくつか収められているのだが、これは山野さんには申し訳ないが、読み続けるのがつらい。冒頭の体験をした著者らしい視点で終始書いて欲しかった。一般的な(新聞などを読んでいると出てきそうな)論調がほとんどで残念である。それと、物事には何でも裏と表、功罪相反するものが存在する。それを評論で述べる場合は、間髪を容れずに展開する方がよい。「・・・こういう面もあるだろうが、・・・こういう見方もある」といった書き方である。
来週、別の出版社と打合せを約束してしまったために、計画した「とにかく資料を読まずに書き続ける」ができていない。いつのまにか来週の準備に忙殺されている。
6月29日(金)「平岩弓枝先生の教え・・・の風さん」
今日は第38回長谷川伸の会が麹町の弘済会館であるので、新幹線で上京した。
往復の移動時間で資料を読むべく2冊本を携行した。
今年の長谷川伸賞は、新鷹会の大先輩で、最もお世話になっていると断言できる野村敏雄先生に決まった。もともと長谷川伸賞は身内の中からは出さないように努めてきたのだが、特例で長谷川伸賞授賞となったのである。祝辞を述べるように野村先生から指示を受けていたので、1週間前にざっとこしらえて、昨夜リファインしてプリントアウトしたものを持参した。カンニングペーパーである。授賞式には、はるばる和歌山から(ベストセラー『元禄御畳奉行の日記』の著者である)神坂次郎先生も見えて、祝辞を述べられた。懇親会でビールを注がせていただいたが、すぐ別の人が挨拶に来られて(大作家の周辺はいつも人だかりである)ゆっくりお話を伺うことができなかった。
祝辞の大任を何とか終えて、ホッとした。
しかし、今夜は平岩弓枝先生からたっぷりご指導をいただいた。年初にある賞の関係で『算聖伝』を推してくださった平岩先生から、次への飛躍のためにということで、「基本的な文章力を養いなさい」というアドバイスをいただいた。以下、要点を書き連ねておく。
(1)平易な文章で表現する工夫をすること。
(2)漢語を安易に使うな。2文字、3文字・・・の漢字の熟語が出てきたら、大和言葉で表現できないか検討すること。
(3)地の文の中で、カタカナの外来語を使って表現するな。時代小説の雰囲気が損なわれる。
(4)地の文の中で、現代人が会話で使うような表現、特に「だらだら」「ぽつぽつ」のような繰り返す言葉を使うな。
(5)ワープロでばかり書いていると、文章の乱れに気付かなくなることがある。また、自分の欠点が見えなくなることがある。一度、手書きで文章を書いてみること。
(6)読者を意識することは大切だが、意識し過ぎてもいけない。いくら分かりやすくしても、自分の文体というものもある。
(7)お手本になる作家は、私は志賀直哉だと思う。原点だと思う。
(8)長い文章もいけない。接続詞が途中に3つ以上入ってはいけない。
とにかく、今の私の取り組んでいるジャンルやテーマはとても良いし、私にしか書けないものだから、頑張りなさい、と励まされた。有難いことである。
6月30日(土)「むむ、時間が・・・の風さん」
長谷川伸の会は、終わるのが8時過ぎで、たいてい懇親会の後、さらに2次会へ行くので、新幹線では帰れない。夕べは、またドリーム号で帰ってきた。夜行バスは夏が一番つらい。暑苦しいのが苦手だからだ。とりあえず冷房の風をがんがん自分に向けて、毛布をかけて寝た。
名古屋に着いたら、雨が降っていた。6時間くらい寝たのだが、頭が重い。
8時前に自宅にたどり着いた。すぐ入浴。
ここまで、通算5時間くらいの読書時間があって、居眠りもせずにせっせと読んでいたのだが、読み終えることができなかった。
朝食を摂り、資料の残りを読みながら、パソコンの中の年表に書き加える作業を続けた。途中で昼食もあったが、ボケの進んできた頭脳には限界だった。今までなら、ここですぐ昼寝となるところをこらえて、2時からトレーニングに出かけた。雨は上がっている。
入念なストレッチのあと、エアロバイクでたっぷり汗を流し、上半身の筋力トレーニングをして帰ってきた。今度はシャワーを浴びた。気分は爽快で、肉体の疲労感も心地よい。ここで、横になったら、気持ち良く寝入ってしまった。
夕食後、ここまで整理した年表を印刷し、いよいよ打ち合わせのための梗概原稿に着手である。
しっかし〜、俺って、本当にノロマだなあ。あとどれだけ時間があるというのだ。だって、今梗概を準備しているのは、別の小説で、昨夜の平岩先生の期待に応える作品とは別なんだからね。間に合うだろうか。いや、絶対に間に合わせなければならないのだ。
気まぐれ日記 01年7月へつづく